技術士、測量士、施工管理技士…建設系国家資格を取ろう!

技術士、測量士、施工管理技士…建設系国家資格を取ろう

足場、鳶、揚重、宮大工、内装……建設業界にはいろんな種別の業種・職種があります。それぞれに特性や資格があり、その道を極める人も多いでしょう。前回紹介した技能士も国家資格ですが、より高みに行きたい人は、ぜひほかの国家資格の取得も目指してみてはいかがでしょうか?

目次

国家資格とはどんな資格なのか

建設業界の国家資格はどんな資格なのか
国家資格とは法律に基づいて、各ジャンルにおける能力・知識のレベルを判定し、特定の職業に従事すると証明するためのものです。簡単に言えば、国家試験に合格すればもらえる称号(資格)ということです。もうみなさんがご存知の通り。

以前にご紹介した「技能士」は厚生労働省が検定を管轄する国家資格ですが、ここで紹介する「国家資格」は関係官庁がそれぞれ管轄を持つ、より高いレベルのものです。わかりやすく言えば検定を通過する「技能士」が大学卒業の学士、「国家試験通過」は大学院卒業の博士といったところでしょうか。

建築業 建設業 ガテンにかかわる技能検定について

建設業・建築にかかわる技能検定について

2018年9月6日

建設業界に関わる国家資格

建設業界に関わる国家資格一覧
「技能士」はどのような業種であっても一括で厚生労働省管轄(一部民間機関)のシステムでしたが、ほかの国家試験を管轄する官庁は職種と関連法によって分かれています。ご存じの通り、建設に関わる職種が多岐に渡るためで、国家資格の数もとても多くあります。

法律と管轄官庁と合わせて一覧で確認してみましょう

管轄官庁関連法資格名
総務省(消防庁)管轄消防法消防設備士★
消防設備点検資格者
防火管理者★
防火対象物点検資格者
防火管理業務一部受託法人等教育担当者
国土交通省管轄測量法測量士・測量士補★
建設業法施工管理技士(1級、2級)
管理技術者
主任技術者
建設機械施工技士
土木施工管理技士
建築施工管理技士
電気工事施工管理技士
管工事施工管理技士
建設リサイクル法解体工事施工技士
建築基準法建設基準適合判定資格者★
特殊建築物等調査資格者
昇降機検査資格者
建築設備検査資格者
下水道法下水道管理技術認定試験
土地区画整備法土地区画整理士
宅地建物取引業法宅地建物取引士★
不動産鑑定法不動産鑑定士
厚生労働省労働安全衛生法元方安全衛生管理者
発破技士★
クレーン・デリック運転士★
移動式クレーン運転士★
揚貨装置運転士免許
安全管理者
建築物衛生法建築物環境衛生管理技術者
貯水槽清掃作業監督者
清掃作業監督者
空気環境測定実施者
防除作業監督者
統括管理者
ダクト清掃作業監督者
排水管清掃作業監督者
空調給排水管理監督者
水道法給水装置工事主任技術者
技能士検定
環境省廃棄物処理法特別管理産業廃棄物管理責任者
愛機物処理施設技術管理者
経済産業省電気事業法ダム水路主任技術者
ボイラー・タービン主任技術者免状
火薬取締法火薬類取扱保安責任者
電気事業法・電気工事士法電気工事士★
電気主任技術者
特種電気工事資格者
認定電気工事従事者
農林水産省土地改良法土地改良換地士★
土地改良専門技術者
法務省土地家屋調査士法土地家屋調査士★
文部科学省技術士法建築士免許(一級、二級、木造)★
建築設備士
その他 関係資格あり

ざっと書き出してもこれだけ関連資格があります(まだ書き出してないものもあります)。ここでそれぞれを説明できないほどの数ですが、「★」を付けたものは「業務独占資格」と呼ばれるものです。その資格を有する人のみが従事できるもので、免許登録する必要があります。登録費は等級や資格によって異なります。

建設系国家資格を取得したあとのメリット

建設系国家資格を取得したあとの現場作業員のメリット

国家資格を取得したあとにどんなメリットがあるのか? と考える人多いと思います。勉強する時間や講義を受ける費用などのリスクを負うことになるので、そのリターンを考えるのはとても大事なことだと思います。

基本的にどの職業・職種においてもそうですが、資格保有で一番のメリットは「信用性」です。とくに最終的に独立することを考える方は、金融機関から融資を受けることや顧客からの信用というような、社会的地位としてのメリットは絶大となります。

独立しないまでも従業員として働いていく場合でも、賃金の上昇やよりよい環境への転職するときに大きなアドバンテージとなります。とくに「★」をつけて業務独占資格は、専従することができますので、貴重な人材であるとみなされることが多いです。

建設系国家資格を受験するためには

建設系国家資格を受験するためには
国家資格を受験するには「受験資格」をクリアしなくてはなりません。なかには「誰でも受けられる」ものもあり、宅地建物取引士などは学歴どころか、国籍も年齢も性別も制限がありません(合格後の宅建士登録ができない事由はいくつかあります)。最年少では中学1年生(!)が合格したという履歴もあるほどです。

例えば二級建築士は、4年制大学卒で指定科目を履修しているもの、高卒もしくは中卒で指定科目履修とほかに実務経験が3年以上など、細かく指定をされています。つまり最短で受験資格を得るには、大卒指定科目履修という道をたどるのが効率的だということになります。

さらに上の一級建築士の受験資格も、二級建築士資格取得ののち4年の実務経験、もしくは4年制大学卒で指定科目を履修しているものであれば2年の実務経験となっています。「高卒もしくは中卒で指定科目履修者」は二級建築士資格を取得することが要件となるわけです。

建設業界における技術士、技術士補とは?

建設業界における技術士 技術士補とは
「技能士」の記事でも少し書きましたが、「技能士」と「技術士」は似ているようで違います。「技能士」は1級、2級などの等級で分けられていますが(中には単一階級もあります)、「技術士」は階級ではなく、「技術士補」というものが設定されています。

「技術士」は建設業界だけでなく、機械や船舶、繊維、環境、原子力・放射線など、世の中の産業の幅の広さと合わせて設定されています。技術士試験の一次試験では、基礎・適正・共通の各科目共通科目とその分野の専門科目に分かれています。

「技術士補」技術士試験の一次試験を通過した人、もしくはJABEE(日本記述者教育認定機構)が認定した教育課程を卒業した人が得られる資格で、文字通り技術士のアシスタントとして働くことがきます。JABEEの認定教育課程はこちら(厚生労働省資料)をご覧ください。

技術士試験はどのような内容なのか

建設系技術士試験はどのような内容なのか
「技術士」になるためには技術士補になる資格を得て技術士試験の二次試験を通過し、登録することが必要になります。一次試験には受験資格の規定はなく、過去に小学生が通過した履歴が残っていますが二次試験には受験資格の規定があり、かなり厳格です。

二次試験は、原則7年以上の実務経験がある人、もしくは4年以上の実務経験を有する技術士補資格保有者または監督下で就業していた人。または大学院で就学していた人は、2年を実務経験に算入できるというものです。つまり大学院で就学している人で、最短2年で取得できるということです。なかなかのハードルの高さです。

試験の形式は一次試験が選択式、二次試験が論述式と口述式になっていて、試験方法でもぐんとハードルが高くなっています。建設業界で最高峰の資格といわれるのが「技術士」です。技術士資格が信用性や能力がより高く、社会的にもより有用な資格になっているという証明です。技術士試験の日程や受験資格詳細はこちら(日本技術士会ウェブサイト)をご覧ください。

「技術士」と「技能士」の明らかな違い

建設現場に配属される技能士と技術士の違い
「技能士」の記事では主任技術者・一般建設業の営業所専任技術者になることができるという説明を書きましたが、「技術士」はそれ以上の監理技術者・特定建設業の営業所専任技術者になれるものがあります。詳細はこちらの資料(十和田市ウェブサイト)がわかりやすいです。

ここでいう「技術者」とは、工事現場などで技術の管理監督をする人のことで、それぞれの現場で1人は必要となる役職です。ですので小規模の個人住宅工事などを除き「技術者」は他の現場と兼任することができません。

「営業所専任技術者」はその名前の通り、原則として営業所に常駐する必要があります。ですので、営業所付近の工事現場など特定要件を満たさない現場には赴くことができません。

「主任と一般」「監理と特定」のそれぞれの違いを簡単に説明すると、携わる工事現場の規模が違います。「主任と一般」の場合は小規模現場の元請け、もしくは下請け。「監理と特定」は大規模工事の現場に必要になる技術者ということになります。

ということは、やはり「主任と一般」よりも「監理と特定」のほうが収入面でも有利になることは一目瞭然ということです。この「技術者」の項目はより詳細を説明したと思いますので、追って別記事で書きたいと思います。

いろいろと勉強しながら働く人も多いと思います。受験資格のこともあるので、最終的なゴールを決めて、計画的にアプローチをしていきましょう。よりよい環境、よりよし仕事を得るためにも頑張ってください!
技術士、測量士、施工管理技士…建設系国家資格を取ろう