首都圏で流行り始めた風疹(三日ばしか)。大人がかかる分にはまだいいのですが、風邪よりも強く感染するのでお子さんや奥さんが妊娠中の人は要注意です!現場仕事ではいろんな人と接触しますので、用心に越したことはありません。奥さんが妊娠初期の人は至急の対応が必要ですから、ここで確認してください。
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風邪やインフルエンザと同じように流行期がある風疹。過去の履歴からみると5年から10年の間に流行る年が出現しています。今年はすでにインフルエンザで学級閉鎖をしたところもありますから、発熱直後にインフルエンザなのか風疹なのかわからないというパターンもあり得ることでしょう。
しかも多く感染する傾向があるのは、子供と30〜50代の男性と言われています。30〜50代の男性は子供の頃に風疹ワクチン摂取を中断された時期の人たちです。もちろんワクチン接種した人、一度風疹にかかった人は感染しませんが、その記憶が定かでなければ、一度かかりつけの医者で聞いてみるのもいいでしょう。
では風疹が流行ると、世の中的にはどうなるのでしょうか。
この記事の書き出しで、「大人がかかる分にはまだいいのですが」と書きましたが、それは子供や赤ちゃんがかかれば、その面倒を誰かが見なければいけないということと、やはり小さい体に熱や発疹はつらい症状だからです。
しかし、大人がかかっても症状に変わりはなく、むしろ子供よりも長引くということも言われています。発疹は3日程度で治まる(ので「三日ばしか」と呼ばれる)のですが、発疹前後で発熱することもあります。また合併症として脳炎、貧血、血小板減少性紫斑病(出血しやすく止血しにくい病気)などになるケースもあるので、注意する必要があります
また妊婦さんがかかるとお腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼし、最悪の場合は障害を負って産まれてくるというケースもあります。ですから「奥さんが妊娠中の人は注意」と言われているのです。一番注意しなければならないのはこのケースです。
前回の流行期(2012年・2013年)に全体で1万4000人程度の感染者がいたと集計されています。そのうち妊婦さんが感染し、産まれてきた赤ちゃんに障害が遺っていたのが45人という統計があります。比率にすると0.3%ではありますが、できるだけ防いで健康な赤ちゃんに生まれてきてほしいですよね。
しかもお腹の赤ちゃんに心臓や血液、目、耳などに障害がでる「先天性風疹症候群(CRS)」というものになる場合があるので、命の危険すら帯びている状態で産まれてくるのです。これは防ぐ手立てがあるのなら、しっかり防ぐにこしたことはありません。
妊婦さんは定期検診で病院に通っていると思います。あまり過度に不安を抱かずに、かかりつけの産婦人科医に相談をしてください。旦那さんや家族と一緒に一度検査をすることになるかもしれませんが、ちゃんと医師の意見や指示を聞いて慌てないようにしてください。
風疹からCRSというものに繋げないためにも、ワクチンの摂取が有効です。「MRワクチン」というワクチンで、かかりつけの病院やお近くの保健所で確認をしてみてください。市区町村によっては助成金を設定しているところもありますので、合わせてウェブサイトなども確認してみましょう。
参考リンク:ワクチン接種可能な病院を探す「MEDLEY」
ここで大事なのは、「自身の周りに妊婦さんや子供がいるかいないか」ではありません。風疹の感染力は風邪よりも強く、1人かかると7〜9人ほど感染させる力があると言われています。しかも感染してから症状が出るまでの潜伏期間でも感染力があります。さらに風邪のウイルスより小さく、マスクなどの効果も薄いと言われています。
ですから、会社の同僚や現場で出会う人などから伝染る可能性も高いということです。会社内で感染して広がることもありえます。もし会社の同僚の奥さんが妊娠していたらと考えてみてください。その奥さんまで伝播するのはとても簡単なことなのです。
もし風疹の症状が出たら仕事を休すませるなど、会社側もそのような配慮が必要になるでしょう。とくに工期の決まっている建設現場ですから、その1週間を休ませずにいて作業員全体に広がったりすれば、逆にさらに工期が送れること必至です。
現場で働く人の比重で多いのが30〜50代の男性だと思います。まさに風疹によくかかっている世代です。ですから広げないためにワクチン、かかってしまったら伝染さないようにするように心がけてください。これが本人にも現場にも良いということだと理解してください。