前回は、簡単に取れてかつ仕事の数も多い「基礎編」として記事をお届けしました。今回は、同じように簡単に取得できて、比較的大きめの現場で役に立つ「乗り物」が関わる資格の情報をお届けしようと思います。いろいろな資格を取得して、仕事に転職に役立ててください!
※下で紹介する重機で公道を走る際は、別途対応している運転免許と車のナンバーが必要です
目次
乗り物系の代表格はこの資格です。車両系とくくられているだけあって、いくつかの種別に分かれています。種類が多いのでなかなかハードルは高そうですが、受講資格は18歳以上というだけで、それ以外の縛りは一切ありません。
分類は「整地・運搬・積込・掘削用」「解体用」「基礎工事用」「コンクリート打設用」の4つに分けられています。分類によってそれぞれ乗れる重機が変わります。メジャーどころでいうとブルドーザーや杭打機、コンクリートポンプ車などがあります。下の表でそれぞれに分類されている車両をみてみましょう。
分類 | 主な車両 |
---|---|
整地・運搬・積込・掘削用 | ブルドーザー、モーターグレーダー、トラクターショベル、ずり積機、スクレーパー、パワーショベル、ドラグショベル、クラムシェル、ホイールローダーなど |
解体用 | ブレーカーなどのアタッチメント着用機系、鉄骨切断機、コンクリート圧壊機、解体用つかみ機など |
基礎工事用 | 杭打機、アースドリル、穿孔機、アースオーガなど |
コンクリート打設用 | コンクリートポンプ車など |
上の表では一例として上げていますが、これら重機が絡む労働災害は死亡事故などの大事故になりやすく、非常に危険を伴います。そのようなことから運転技能者の資格を持っている人は、工事現場の安全確保なども重要な任務になっています。
この技能講習においてもほかの資格と同じように「技能講習」「特別教育」の2つがあります。「技能講習」を受けて修了試験を通過した人は、各分類で認定されている車両の3トン以上クラスのものに、「特別教育」を修了した人は認定車両種別の3トン以下に乗って仕事に就くことができます。
この技能講習は種別が多いので、いろいろな免除が設定されています。もしなにも免除もない状態で講習を受講した場合は全部で38時間の受講が必要になります。学科と実技がありますが、学科では走行装置や作業装置についてと、運転についての知識と法令を学ぶことになります。
ちなみに基礎編で紹介した技能講習にあった「◯年以上の業務に従事していた履歴」を求められていないのは、この資格が業務独占資格だからです。この資格をもっていないと、該当する車両に乗って仕事をすることができないということで、どの現場でも重宝がられる資格です。
この資格を保有することで操作ができるのは、ショベルローダーのほかにフォークローダーとログローダーなどがあります。同じローダーでもホイールローダーは上で紹介したとおり「車両系建設機械運転技能者」を取得していないと操作をすることができません。
ホイールローダーとショベルローダーはいったいなにが違うのでしょうか。対照表で見てみましょう。
車種 | ホイールローダー | ショベルローダー |
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必要資格 | 車両系建設機械運転技能者資格 | ショベルローダー等運転技能者資格 |
仕様 | 4WD・操縦席の前で折れる 不整地でも可 | 2WD・車体はすべて1個体 整地済み現場 |
用途 | 荷役のほか整地作業や林業など アタッチメント次第 | 主に荷役作業 |
見た目では分かりづらいのですが、大きいのがホイールローダーで、小さいのがショベルローダーと認識してもらうと分かりやすいかもしれません。不整地でも操作ができて就労できる業務も多岐に渡るので、現場において活躍の場が多いのはホイールローダーです。
この資格取得で操作ができるようになるフォークローダーは、ショベルローダーのバケットをフォークに付け替えたものをいいます。こうなると完全に荷役作業向けですが、倉庫などで使うフォークリフトの運転はこれまた別の資格になります(下記参照)。ログローダーはその名の通り丸太(=ログ)をつまんで上げるもので、バケットのかわりに掴み手が取り付けられています。
この資格も上で紹介した「車両系建設機械運転技能者」と同じように、18歳以上であること以外受講資格に制限は設けられていない業務独占資格です。「技能講習」を修了した人は1トン以上の該当する重機を、「特別教育」を修了した人は1トン未満の該当重機を操作することができるようになります。
講習の内容は、操作の実技が一番多く時間が割かれています。免除項目がない人でトータル35時間(講義が11時間、実技が24時間)です。普通免許などの運転免許を所有しているだけでも免除されるので、35時間をフルで受ける方は少ないのではないでしょうか。
この資格で扱うことができるようになるのは、上の2つの講習と違い高所作業車のみです。ご存知の通り、送電線などの電気工事や工事現場の梁工事、内装工事などの無足場工法を用いる現場などで使用されることが多いですが、トラック積載型、クローラ(キャタピラ)またはホイールの自走式ともにこの資格が必要です。
この講習もほかのものと同じように「技能講習」と「特別教育」の2通りあり、高所作業車の場合は高さによって分けられています。いずれの受講資格の設定は18歳以上のみです。技能講習修了では高さ10m以上のすべての作業車が操作可能になり、特別教育を修了すると2m以上10m未満の作業車に限られます。
講習内容はほかのものと比べると短めで、免除なしの技能講習で17時間、特別教育で9時間になっています。普通自動車免許もしくは、上で紹介した「ショベルローダー等運転技能講習」「車両系建設機械」の技能講習を履修している人は14時間になります。
この講習を修了すると乗れるようになるのはキャリアと呼ばれる運搬車です。キャリアは高所作業車と同じように、クローラ(キャタピラ)仕様のものとホイール(車輪)の2種類があります。ホイールのものには、重ダンプトラックなどと呼ばれ300tを超えるものもあります。この車は公道を走ることはできません。
もちろん良く見かける、子供に人気のあるような公道を走れるダンプトラックもこれに属します。それぞれサイズなどに合わせた運転免許とナンバープレートを取得していれば公道を「走るだけ」はできますが、逆にこの技能講習を修了していないと、工事現場で従事する作業(搬入や搬出のための公道走行も含む)はできません。
ちなみにクローラ式キャリアは、陸上自衛隊でも民生品(=市販のもの)をそのまま転用し、資材運搬車として従事しています。東日本大震災の被災者捜索や復興事業開始時のガレキの撤去に使用されていました。見ためは空港にいる飛行機牽引車のような姿をしています。
この技能講習の受講資格は18歳以上、講習内容は免除なしで最長授業時間35時間です。ほかの車両系技能講習と同じように実技における走行の操作に20時間割かれています。公道を走るときに必要な大型特殊免許を持っている人は、最短で11時間で修了することができます。
技能講習修了(修了試験通過)で操作できる車種は、1t以上の不整地運搬車のすべてが該当します。特別教育を修了すると1t未満の不整地運搬車操作が可能になります。特別教育の履修時間は最長で12時間、いずれかの自動車免許保有者は10時間です。
工事現場においては資材運搬などの荷役作業に用いられるのがフォークリフトですが、この技能講習を修了すると、工事現場や倉庫作業以外でも操作できる機材が含まれています。大型の工事現場でになかなか見ることはないと思いますが、コンテナ埠頭などで見かけるストラドルキャリアやトップリフターなどです。
公道を走る際に必要な免許に違いがあります。フォークリフトの場合は機材の大きさによって、大型特殊または小型特殊の免許が必要になります。
フォークリフトよりもさらに建設現場色が薄くなるゴンドラ操作者ですが、主によく見るのはビルの窓拭き作業ですね。ただ、高層系建設現場やメンテナンス作業で使用される機会もあると思います。
この講習はほかのものとは違い「特別教育」のみになっています。受講資格は18歳以上のみの設定で、最低受講時間は9時間となっています。特別教育なので、他の資格保有による免除はありません。