ここまでの記事では「技能士」「技術士」を含めたちょっと難しめな国家資格を難しく紹介してきましたが、今回は忙しい現場作業に関わっているみなさんでも取得しやすくて、作業の効率改善や取得したことで現場で役立てるようになるものをご紹介したいと思います。モチベUP!スキルUP!を目指していきましょう。
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今回紹介する資格は、すべて講習を受けると取得できる国家資格です。国家試験のような筆記試験なし(※講義の最後に試験はあります)なので、現場で経験したものもしくは自分の職種で持っていると強みになるものから取得していきましょう。ただし、応募要件に定めがあるものがあるので、それぞれの項目でお知らせします。
ここで紹介する資格はもちろん履歴書などにも記載できるので、建設業界の転職などにも使えますよ!
作業を円滑に進めるための監督・指揮と、労働災害防止のための管理をする人が「作業主任者」であると「労働安全衛生法」において規定されています。事業者は各工程において作業主任者を指名し、関係労働者に周知する義務を負っているのです。
作業主任者が任命される職種は23種別31項目あります。なかには建設現場からは少し縁遠いものも含まれていますが、すべて労働安全衛生法の労働安全衛生法施行令や労働安全衛生規則などで定められているものです。今回の記事では、そのなかでも比較的現場作業でよく使われるものをピックアップしてご説明いたします。
現場で働くみなさんには説明不要だと思いますが念のため書いておくと、「玉掛け」とはクレーンに部材などを掛けたり外したりすることをいいます。部材を直接掛ける、もしくはワイヤーなどで括ったものをクレーンのフックに吊ることをいいます。「掛けたり外したり」なので、どちらか片方の作業のみでもこの資格が必要になります。
そもそもクレーンありきの作業なので、クレーン資格があればよいと思われがちですが、クレーンとは別にこの玉掛けの資格が設定されています。クレーンの操作とは別に、吊った部材の吊り方などが正しくないおかげで落下したりする重大事故が起きるため、この玉掛けも資格として設定されているのです。
とにかく作業主任者は役目である「労働災害防止」を図ることに、大きな役目を背負っています。労働災害の紹介においては、相当な件数で「玉掛けミス」による落下事故や激突事故が発生しているので、この資格の重要性がよくわかります。
では玉掛け作業者になるためにはどのような方法なのかを見てみましょう。
この資格は講習を受けるのみで資格取得が可能です(ただし受講の最後に修了試験はある)。受講資格について特段条件は設定されていませんが、玉掛け作業に就ける年齢は18歳以上なので、18歳以上が受けるのが通常のようです。また18歳未満の人が現場で仕事をする場合、2名以上の玉掛け作業の場合のみ補佐に就くことができます。
講習には2種類あり荷を吊るクレーンの大きさによって分けられています。荷物の重さに関わらず、吊り上げ荷重が1トン以上のすべてのクレーンに荷を吊る際に必要なのは「玉掛け技能講習」。吊り上げ荷重が1トン以下の場合は「玉掛け特別教育」を受けることになります。
「玉掛け技能講習」は学科12時間・実技7時間で、おおよそ3日に分けて受講することになります。「玉掛け特別教育」は学科5時間、実技4時間となっていて技能講習の半分程度になっています。ただ、日本国内で稼働するクレーンは1トン以上のものが多いので技能講習を受講する人が多いのが実態です。
水道管や電線の地下埋設など、地面を掘削してから作業をする際に求められる主任者資格です。掘削した溝に支保工を設置せずに作業をしていると、掘削面の崩壊により作業ができなくなってしまううえに、作業員が土砂に飲まれてしまう事故にもつながるので大変危険です。
土止め支保工作業主任者の資格を取得するには「地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技術講習」を受講する必要があります。この講習は見ての通り掘削と支保工がセットになっています。それは上に書いた理由で労働災害防止には、「掘る」と「押さえる」がセットになっているからです。
地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技術講習は、玉掛けのときとは違い受講資格の設定があります。学歴に関係なく21歳以上で、土止め支保工に関わる業務(腹おこしの取り付け、取り外し、支保工の切梁など)に3年間従事した人であれば受講できます。20歳以上で中学・高校・高専・大学で指定学科の履修をした人は2年間に短縮されます。
講習の内容は学科で17時間です(受講の最後に修了試験があります)。おおよそ3日に渡って受講しますが、一番ながい授業は作業方法について10時間です。実地で3年または2年間従事してきたことをおさらいするにもちょうどいいでしょう。
残りの7時間弱で関連法令や機器・道具の知識、作業者教育などの授業が設定されています。そして最後に修了テストですが、各科4割以上かつ全体6割以上で合格ですから、さほどハードルが高い感じはしませんよね。おそらく関連法令さえ突破できれば、きっと大丈夫でしょう!
コンクリートの打設に用いられる型枠を作るために、支える構造物を作ることが型枠支保工作業ですが、パイプサポートを用いたりAXビームを用いたりする方式が全部で6種類あると言われています。その作業をする上で必要な資格が「型枠支保工作業主任者」というわけです。
この資格は「型枠支保工の組立て等作業主任者技能講習」を修了することで得られるものです。受講資格は学歴別に条件が設定されています。20歳以上で高校・高専・大学で土木か建築に関わる学科を卒業したあと、2年以上の型枠支保工の組立・解体に従事していた人。もしくは21歳以上で学歴不問かつ3年以上従事していた人と規定されています。
講習の内容は学科のみで13時間で、主に作業知識の座学がメインです。トータル2日に渡って座学を受けたあとに修了試験を受けて修了です。作業に関わっている人が受けるので、それほど難しいことはありません。ぜひ資格をとってスキルアップしてください。
上で紹介した「型枠支保工」に関わりがあるのが、この「足場組立等作業主任者」です。高さが5m以上の足場の組立・解体、またはつり足場や張出し足場の組立・解体にはこの資格が必要となります。とくに高所での作業で、墜落などの大事故につながりやすい業務なので、労働災害防止の意味合いが強い資格となります。
なぜ「型枠支保工」と関わるのかと言えば、現場作業にでている人なら分かりやすい話ですが、狭い敷地や組み合わせが多い工事現場で用いられる「くさび緊結式」などのように、同じような方法を用いることがあるからです。またいずれの作業も鳶職の職務範囲となっています。
受講資格は、上に紹介した別の講習と同じような形態です。21歳以上で足場の組立・解体に3年以上従事した人か、中学・高校・高専・大学で土木や建築・造船に関わる学科を履修した20歳以上かつ足場の組立・解体に2年以上従事した人が受けることができます。
講習の内容も、ほかの主任者講習と同じように座学を13時間行ったあとに、修了試験が行われます。13時間なので、ほかのものと同じ2日間に渡って行われます。一番多い学科はやはり作業方法について7時間。残りは作業者教育や関係法令などがあります。
主任者名 | 資格 | 内容 | 申込先 |
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玉掛け作業主任者 | なし(但し就業年齢は18歳以上) | 玉掛け技能講習 学科12時間・実技7時間(3日間) 玉掛け特別教育 学科5時間・実技4時間 (2日間) | 建設業労働災害防止協会 |
土止め支保工作業主任者 | 21歳以上で学歴指定なし=土止め支保工に関わる業務(腹おこしの取り付け、取り外し、支保工の切梁など)に3年間従事した人 20歳以上で中学・高校・高専・大学で指定学科の履修をした人=土止め支保工に関わる業務(腹おこしの取り付け、取り外し、支保工の切梁など)に2年間従事した人 | 学科のみ 17時間(3日間) | 建設業労働災害防止協会 |
型枠支保工の組立て等作業主任者 | 21歳以上で学歴指定なし=型枠支保工の組立・解体に3年間従事した人 20歳以上で中学・高校・高専・大学で指定学科の履修をした人=型枠支保工の組立・解体に2年間従事した人 | 学科のみ 13時間(2日間) | 建設業労働災害防止協会 |
足場組立等作業主任者 | 21歳以上で学歴指定なし=足場の組立・解体に3年間従事した人 20歳以上で中学・高校・高専・大学で指定学科の履修をした人=足場の組立・解体に2年間従事した人 | 学科のみ 13時間(2日間) | 建設業労働災害防止協会 |